「クゥン」 声の方にはふわふわしたクリーム色の毛に覆われた仔犬がいた。 「どーしたの?」 私がしゃがんで手を出すと、仔犬は私の手首をくんくんと嗅いだ。 (バニラの香りかな?) 「この香り、好きなの?」 「クゥン」 「そっかぁ」 私が頭を撫でると気持ち良さそうに目を細めた。 「ゆうたーーーっ」 「クゥン」 少し離れたところで叫ぶ女の人の声に反応した。