マンションへの道を二人並んで歩く。 よく二人で並んで歩いていたその時よりも二人の距離がある気がする。 「あの、さ」 透が突然、沈黙を破った。 「ん?」 「俺って自分勝手で、マイペースで、よく自由人って言われるケドさ、」 「…」 「あの、紗江子さんのことは、大切にしたい!紗江子さんのこと、好き、だから。ね?」 私を確認するようにこっちをチラッと見て目線をそらした。 顔が真っ赤だ。 こんなに余裕のない透を初めて見た。