「透」
「紗江子さん、ありがとう。よかったよ。啓太郎が一緒にいたのが紗江子さんで」
そう言うと透はふわっと笑顔を浮かべた。
私はこの笑顔に弱い。
「別に」
「冷たいなぁ」
透は困ったように笑った。
透は同じマンションの一つ上の階に住んでいる。
あいつだ。
「さえこととおるはしりあいなの?」
突然、啓太郎は私と透にきいてきた。
「うん。幼なじみ。あっ紗江子さん、啓太郎は俺の従兄弟の息子で、その従兄弟に頼まれて啓太郎探してたんだ。でも見つかってよかったよ」
「そうなんだ。さえこととおるはこいびと?」
…ん?


