「さえこ、たべていい?」
「そこで座って食べようか」
「うんっ」
私たちは近くのベンチに座った。
座るとけーたろーはクレープを頬張った。
「んんーーおいひぃ」
けーたろーは口にクレープを入れたまま笑った。
「よかったね。ほら、クレープついてるよ」
「ん?」
「はい。取れた」
けーたろーの頬についたクレープをとる。
「ん?ありがと」
またけーたろーは満面の笑みを浮かべる。
(…これは将来、天然の女たらしになるな)
「さえこもたべる?」
「うん」
小さなジェントルマンに身を寄せてクレープを一口もらう。


