「そーだ。さえこ、さえこに、これやるよ」 そう言ってけーたろーは私に持っていた赤い風船を差し出した。 「!…いいの?」 「うん!」 「ありがとう」 私は一文字一文字はっきりとお礼を言った。 「けーたろー、クレープ好き?」 ふと思い立ったので言ってみた。 千鶴さんのお店で奢ってあげようと思ったのだ。 「すきだよ。なに?たべたい」 (正直だなぁ。) 「じゃちょっとママ探すの休憩して食べいこうか」 「うん!」 私はけーたろーと手をつないで公園に向かった。