「別に僕は杏ちゃんとなら
間接じゃいキスも大歓迎だよー」
何だ、この能天気!
だけどいつの間にかツンツン攻撃は
終わっていた。
「ふざけないでください。
本当すいませんでした。
呑気に使用済みのお箸を
渡してしまって。」
「だっだから気にしてないって。」
「けど…けど…。
本当は嫌だったでしょ?
それなのに我慢してくれて…。」
何か泣きそう。
あたしの使ったお箸を使った颯真君が
嫌なわけじゃない。
あたしの使ったお箸を颯真君に
平然と渡したあたしが嫌なの。
「あたしキモイから…。
嫌なら嫌でもう関わらない方が…」
すると急にあたしは颯真君に
肩を掴まれた。
何?
そして額にキス…。
「え…?」
時間と音と心臓が一瞬止まって
直後に心臓は何時もより早く動き出した。
現状が理解できない。
「別に俺は藤堂をキモイとか思わないし、
キスのことだって嘘じゃないから。」

