「断わります。」
「もーツンツンしっちゃってー。
あの写真は飛びきり可愛…」
写真!?
その話はするな!
あたしは椎名颯真の話を遮るように
「でっでは駅までお願いします!」
とっさに言った。
自分に駅までの我慢だと言い聞かせる。
だけど納得しないのか、
「えー、家まで行きたかったー。」
唇を尖らせてまるで
小さい子供のような颯真君。
めんどくさい人…。
「椎名…じゃなくて颯真君、
あたしなんかに構ってる暇があったら
家に帰った方が宜しいかと。」
「はー、しょうがないな。分かった。
今日は諦めてやるよ、杏ちゃん。」
こんな風に若干ぎこちない会話を
してるうちに駅に着いた。
長いような短いような道のりだったな…。
「椎…颯真君ありがとう。
じゃあまた、ね。」
あたしは改札口の前で一応お礼を言う。

