扉を出ると正面の壁に誰かが立っている。
暗くて顔が確認できないが
身長からして恐らく男性。
ただ一つだけ確かなのは
つい一週間前の、椎名颯真と
同じ様な雰囲気で佇んでいること。
嫌な予感がしてきた…。
いや、寧ろ嫌な予感しかしない…。
「遅かったね、杏ちゃん。」
予感的中。
この声、話し方…、
「椎名颯真!」
ずかずかとあたしの元に
歩いてくる椎名颯真。
そしてピタッと目の前で止まった。
「は…?何してんの?」
あたしの頭は“?”でいっぱいだ。
「えっと、待ってなかったって
言ったら嘘になるかな。あはは」
何故遠回しに…。
要は待ってたと言うことか。

