「あなたは、もしかして……」
自分が予想した名前を言おうとした時、それより早く杖から炎が出てきた。僕に向かって、真っ直ぐ飛んでくる。
まずい、避けきれな……
「マルティーナ様!」
ロルフが素早く僕を抱き横に避ける。避けた拍子にに二人で倒れてしまったが、間一髪で僕は炎に当たらずに済んだ。
「ロルフ、大丈夫!?」
僕の上に被さる格好で、ロルフの顔が目の前にあった。避けきれなかったのか、肩に炎が掠り服が焦げている。
「オレは大丈夫です。それより、アイツはいったい……」
炎を放った人物を、今までにないくらい、鋭い目付きで睨む。
