「マルティーナ、綺麗だよ」 カルハインツさんが、僕の目の前まで来る。横にいるロルフはカルハインツさんを、じっと睨んでいた。 「よ、よろしく……お願いします」 「緊張しなくてもいいよ。さあお手を」 カルハインツさんの差し出す手を取り、ダンスが始まる。 クラウス、グスタフ、今頃は魔法披露の準備をしてるんだろうな…… 僕はきらびやかな、シャンデリアがある天井を見つめていた。