「それじゃ始めるぞ」


こうして始まる勉強、グスタフさんは怖いけど、授業はとても解りやすい。

僕は夢中になって、勉強していた。今までクラウスにしか、勉強を教えてもらえてなかったから、他の人から教わるのが新鮮だ。

時間が経つのが、やけに早く感じた。


「今日はここまで。ところでマルティーナ」

「え、何?」


グスタフさんは持っていた本を、パタンっと閉じる。そして、フッと笑い僕の目を見た。
初めて見る、グスタフさんの微笑み。何故か睨まれた時より、恐怖を感じてしまった。


「いつからそんなに、歴史が好きになったんだ?」

「………………」


僕の顔が青ざめていくのが分かる。目を逸らしたいのに、グスタフさんの視線から逃れられない。



姉様……歴史嫌いだったんだ。



「単刀直入に聞こう。お前マルティーナじゃないだろう?」




……………まずい、本格的にピンチだ。