「マルティーナか。ノックなんて珍しいな」 心臓が飛び跳ねるほど、ドキッとした。そうだ、姉様は親しい人の部屋にはノックをしない。 切れ長な目が僕を睨んでいた。 「やあ、久しぶりだねグスタフ」 グスタフさんに向けて、微笑むクラウス。グスタフさんはふぅと、小さくため息を吐いていた。 「まあ、入れ」 グスタフさんはクルリと後ろを向いた、襟足まで伸びた青い髪が、小さく揺れている。 背……高いな。クラウスも高いけど、ソレ以上かもしれない。