「ね、ねぇ……大丈夫?」 グスタフさんの部屋の前で、僕はこの上なく緊張していた。初めて会うグスタフさん。 姉様は厳しい人だと言ってたし……大丈夫かなぁ。 「行きますよ、アルベルト様」 誰にも聞こえない、小さな声で僕の名前を呼んでくれる。ちょっと、緊張が収まってきた。 僕はアルベルト……それを知っているのは、クラウスだけ。 心を決めて、ドアをノックする。 「マルティーナです。グスタフいる?」 そう、ドア越しに声をかけると、ガチャリとドアが開いた。