「最後にこれを」

「……カツラ」


半カツラだ。僕をドレッサーの前に座らすと、クラウスは丁寧に、僕の頭にカツラを着ける。クラウスの指が、僕の髪に触れる、少しくすぐったい。


「カツラの境界線を隠すのと、簡単に外れないようにする為に」


そう説明しながら、僕の頭にリボンの付いた、カチューシャをしてくれた。


「…………姉様だ」


鏡の中にいるのは、紛れもなく姉様だった。双子だから、似ているのは当たり前だけど、まさか男と女なのに、ここまで似るとは思わなかった。


「軽く化粧をしましょうか」


といい、おしろいを持って僕の肌に塗る。本格的に、完全に女装だ。


「てかさ、なんで化粧なんて出来るの?」

「この為に練習しましたから」


パチっと僕に向けて、ウインクをする。僕を女王にする気満々なんだね……



「では、行きましょうアルベルト様……いえ、マルティーナ様」