「じゃあ、アレを奪えばいいんだな」 鞘に入ったままの剣を、ロルフは僕に向けた。渡さない、このナイフは姉様を殺すのに必要なんだ。 ナイフを握る手に、力がこもる。 僕を目掛けて駆け出すロルフ、絶対に渡さな…… 「はぁ!」 「!!」 速かった、僕がロルフの動きに反応する前に、もうすでに眼前にいた。 鞘に入ったままの剣で、僕のナイフを持つ手を打つ。 「あっ……」 ナイフは弾かれ、僕の手から離れた。その瞬間、身体中の力が抜ける。 カランとナイフが床に落ち、僕も同時に崩れそうになる。