「……馬じゃないですよ、熊です。親からはぐれた小さな子熊」 「熊!?」 あれ、ロルフはなんで馬だなんて嘘を……まさか!? 「マルティーナ様は、オレ達との出来事、忘れるような人じゃない!」 ダンッ! 肩を捕まれ、廊下の壁に押し付けられる。ロルフの手に力が込もっていて痛い。 「あんたはマルティーナ様じゃない!!」 眼前まで近づいたロルフの顔。真剣な目が痛い。 ロルフ……だったんだ。僕とリヒトの話を聞いてしまったのは。 だから、嘘をついて確かめて……