この人、僕やロルフとそう変わらない年なのに、牢生活は可哀想なだなぁ。
「そうだな、泥棒未遂だな」
訂正したところはソコらしい。まだ何も盗んでないから、確かに未遂だ。
「グスタフ、もうちょっと、この人の話聞いてあげようよ」
「……聞いても無駄だと思うがな。好きにしろ」
好きにしろはグスタフなりの、OKのサインなんだよね。僕の勝手な解釈だけど。
「あんたは……マルティーナ女王じゃないんだな」
「うん、僕はマルティーナ女王の双子の弟で、アルベルトっていうんだ」
僕はこの人に視線を合わせる為、しゃがみ込んで話を聞く。落ち着いてきたのか、さっきより穏やかな口調になっていた。
「俺はリヒト」
ようやく名前が聞けた。これで、泥棒とか不審者とか言わなくて済む。
「……マルティーナ女王に話がしたくて来たんだ」
「姉様に?」
「マルティーナ女王が、約束してくれたから。困った事があったら、私の所に来なさいって」
「えーと、リヒトは姉様に会った事があるんだ?」
コクッと小さく頷き、リヒトは姉様に会った時の事を話し始めた。
