「っな」 いきなり姿を消すとは、なんつーやつだよ。 内心ぐちぐち思いながらも 倒れたイスを直し、静かに座った。 「失礼ですが、悠チャンの先生ですか?」 すごい柔らかそうなマスターの白髭が動いた。 「ぁ、はい。 騒がせてしまい申し訳ございません」 向井先生の時とは違う、 心から思ったお詫びが言えた。 「少し…よろしいですか?」 はてなが浮かぶ俺を見て、 微笑むマスターの目が光った気がした。 了承の意をこめて 俺も微笑み返した。