「ねぇ」
「ん?」
燐の言葉に耳を傾ける。
「あのお方、ルアの執事なのね?」
「うん。そうだけど…どうしたの?急に」
「えっ?ああ、何でもないっ」
「?」
啓人に会ってからいつもと様子が
違う燐を疑問に思いながら、
何も言わずにそっとしていた。
何かあったら、燐の方から言ってくるでしょ。
「ねぇ…」
「ん?」
「今度のお休みに……」
「お嬢様方、お時間が参りました。
全員各教室に移動してください」
燐の声は、担任の先生によって掻き消された。
「あ、また後で」
「うん。分かった」
仕方なく燐と離れ、
教材を持って教室に移動した。
今日はどの授業も集中できなくて。
ずっと燐と啓人のことを考えていた。
あの二人が会った時から
どっちも様子がおかしかった。
何かあったのかな。
考えれば考えるほど、
答えが遠くなっていった。


