「啓人さん、お仕置きは何をしたんですか?
どこも痛くないんですが…」
不思議そうに問いかけるあたしに、
「………キスしました」
少し赤く染めた啓人さんが呟いた。
キ、キス!?
頭の中に二文字の単語が
ぐるぐると駆け巡る。
目と口を大きく開いて、何も出来なくなった。
すると啓人さんは、
いつもより真剣な眼差しで
あたしを真っ直ぐ見た。
「…俺、お嬢様のことが好きです」
その場の空気も、あたしの心も
一気に華やかにした啓人さんの一言。
この一言が、あたしにとって
どんなに嬉しかったことか。
そして、啓人さんの真っ直ぐな言葉が
あたしの背中を押してくれた。
「あ、あたしも…好きです」
だから、ちゃんと素直に言えたよ。
目を逸らさず、俯きもしないで
自分の気持ちを伝えることが出来たよ。


