「はい、じゃあ、目を瞑ってください」
「目、ですか?」
「そうですよ。お仕置きなんだから、見ていたくはないでしょう?」
啓人さんは、意地悪な笑顔を見ながら
あたしを覗き込む。
「…はい」
あたしは渋々目を閉じた。
お仕置きだから、デコピンとかなのかな。
それなら、見ない方が痛くないような気がするけど。
でも、目を閉じたら、いつくるか分からないから怖いっ。
ギュッと目を固く閉じた。
啓人さんが、あたしの髪を
触っているのが分かる。
──その時、ふと唇に何かが当たった。
「お仕置き、終わりましたよ」
それと同時に、啓人さんの声が響いた。
あれ、どこも痛くない。
あれ?今、何があったの?


