ドクンドクンと、急加速で動く心臓の音が
直に聞こえてきた。



「もしも破った場合には、お仕置きをしますよ?」


そう言った啓人さんは、
いつもの笑顔ではなく、不敵な笑みを浮かべた。



「お仕置き…ですか?」

「はい」

「な、何を…?」

「それは秘密です☆」


人差し指を口の前に持ってきて
ニカッと輝く笑顔を見せる啓人さん。


たったそれだけの動作に、
あたしの脈は加速する一方。



「さっきの用件は、何でしたか?」

「あっ、そうだった」


お仕置きを貰わないように
必死に啓人さんの目を見て話す。

啓人さんは、笑みを含んだまま小首を傾げた。



「啓人さんは……」

「はい、お仕置き~」

「えっ!?」

「今、目を逸らしました」

「ええっ!!?」


自分では目を逸らしたつもりはなかったのに、
無意識に逸らしていたみたいだった。


どうしよう~っ。

お仕置きなんて…。
何をされるんだろう?