Side : R I N
ルアから、今まで見たことないくらいの笑顔で
「仁と付き合うことになった!」
と報告を受けた。
その言葉を言った時のルアは、
本当に幸せそうだった。
いいなぁ~。
ルアは仁さんとうまくってて。
あたしなんか……。
「お嬢様、何かお飲物でも?」
ボーっとしていて、見上げると
すぐそこに啓人さんがいた。
「あっ!え、あ…いえ、大丈夫です」
噛みまくりながら、両手を左右に振る。
『そうですか』と啓人さんは
ニコッと笑みを浮かべて行ってしまった。
あたしが見るのは、
いつも啓人さんの背中だけ。
人見知りな性格のあたしには、
目を合わせる事さえ出来ないでいる。
あたしもルアみたいな
積極的さがほしいんだけど、
全然出来そうにない。
ルアが羨ましい…。
「はぁ…」
肩を落としながらため息を一つ。