ドクンドクンと鳴り響く心臓。
何故か震えてしまう体。
顔を上げると、おばあちゃんと目が合い、
緊張で身動きがとれなくなってしまった。
背中に冷たい汗が伝ったような気がした。
やっぱり、許されないことのようで。
半分諦めかけていた時。
「あなたがそれでいいんなら、いいですよ」
おばあちゃんの口から、一番望んでいた言葉が出てきた。
「本当っ!?」
「嘘は言いません」
その言葉にホッと胸を撫で下ろした。
「では、あなたが面倒を見るという条件付きで
この話は終わりということで」
「うんっ!ありがとうございます」
頭を下げると、おばあちゃんは部屋を出て行った。
「はああぁぁぁ……」
パタンと扉が閉まる音と同時に、
ペタンと床にへなりこんでしまった私。
あわてて執事が、私の所まで寄ってきた。
「大丈夫ですか?お嬢様」
「ありがとうございました。助かりました」
近くで見ると、より一層かっこよく見える執事たち。
「僕は仁。黒田 仁(クロダ ジン)と申します」
笑顔で手を引いてくれた仁。
この時不思議なことに、安心感があたしを包んだ。