驚いた顔であたしを見る執事達なんて
気にもしないで、とにかく走った。


誰も来ない場所に、
一秒でも早く行きたかった。


家の門を力任せに開けて、
後ろからかかる声を無視して走り続けた。



「…ふっ……」


涙で前が見えないせいで
足元がぐらついて、勢いよくこけてしまった。


「……っ…」


擦り剥いた膝を見て、消毒しようと
近くの公園に足を進めた。

蛇口を捻り、膝へ水をかけた。



「痛っ!」


血の出る膝を水で洗って、
他に誰もいないことを確認する。