「……仁は、どう思うの?」
声が震えかけたけど、
何とか抑えて、仁に問いかけた。
「俺は…」
ドクンドクンと脈が波打つ。
「やっぱり聞かなきゃよかった」と
後悔しても、もう遅くて。
お願い、これ以上言わないで…っ!
「俺は…お嬢様には、幸せになってもらいたいです」
あたしの心の願いは虚しく、
仁の低い声が、望んでない一言を発した。
仁にそう言われた瞬間、
目の前が真っ暗になった。
何も考えられなくなった。
仁から、突き放されたような気分。
「…そっか。そうだよね……」
溢れ出しそうな涙を必死に堪えて
仁の隣を通り過ぎた。
今になって、やっと気づいた。
突き放された気分になって、やっと気づいた。
あたしは…仁のことが…。
「……っ…」
押し殺していた声が漏れ、
堪えていた涙が頬を伝った。
「ル…ア?」
仁の声が響くと同時に、
あたしは部屋から飛び出した。