燐の言葉を頭の中で
何度もリピートするけど、
好きかどうかも分からなかった。
第一、仁は執事。
このことが、あたしの考えを
一番揺るがしていた。
仁はただの執事なだけで。
仁自体は、あたしに好意を抱くことは
まずないと思う。
もし仮に、あたしが仁に告白しても……。
チクッと心が痛んだ。
「…ないよ。仁のことが好きなんて…」
半分、自分に言い聞かせてた。
言い聞かせないと、何をするか分からなかったんだ。
「まぁ、ルア自身がどう考えるかによるけどね」
燐のごもっともな言葉に、俯くあたし。
「でも…突然お見合いかぁ……」
燐が思い出したように言った。
「お父さんの考えが分からない」
「そうだね。でも、自分の気持ちは
正直に叔父様に伝えるんだよ?」
「……うん」
それから暫く燐と話して、それぞれの家に帰った。


