「…ルア……」


突然仁が切ない声で名前を呼んできた。
ドクンッと脈が波打つ。


「何?」


あたしの問いかけにハッとし
髪をクシャッと掻き分けて


「いや。……飯食いに行くぞ」

無理矢理話を終わらせた。


「お嬢様に向かってその言葉遣いってどうなのよ~」


冗談半分で、仁を茶化してみた。
無理矢理話を終わらせた罰だっ!(笑)


「あ、すいませんでした」


素直に言うことを聞くところが
何とも可愛いらしかった。



「やっぱ、普通の言葉遣いで話して」

「え?」

「そっちの方が落ち着くから」

「……分かった」


仁は一瞬躊躇ったけど、
さっきみたいに普通に話してくれた。



「執事とこうやって普通に話すのって、初めてだっ!」

「俺も」


あたしたちは笑ながら、食事部屋へと急いだ。