ゴクリ…。
やけに大きく自分だけに響く心臓の音。
「さぁ、早く選びなさい」
おばあちゃんの声が耳に響く。
何ともいえない緊張感があたしを包んだ。
初めまして。
桜柳ルア(サクラヤギ ルア)と申します。
というか、呑気に自己紹介してる場合じゃないんです!
とんでもなく危機的な状況になっています!
その発端は、今日の朝のこと…。
──────……
「ルア、ちょっと来なさい」
「おばあちゃん」
目が覚め、朝食をとりに行こうとした時、
突然おばあちゃんがあたしを引きとめた。
声をかけてくれることは滅多にないから、
あたしにとっては、嬉しかったりする。
大きなシャンデリアに、大きなソファ。
扉の前じゃ、まだまだ見切れないほどおばあちゃんの部屋は広い。
足を踏み入れると、そこには2人の執事が立っていた。
「ルア」
「はい」
「今日からあなたの担当執事がどちらかになります。
どちらか好きな方を選びなさい」
「……え…?」
おばあちゃんの言葉がグルグルと頭の中を
駆け巡っていても、理解は出来なかった。
目の前の2人を交互に見ると、
どちらも行き場がない子犬のような顔をしていて…。
あたしはどちらにしようか、決められるわけもなく…。
──────……
そして、今に至るわけです。