外では蝉の声が鳴り響き、ギラギラとした太陽が照り付ける。

夏休みに浮かれた子供たちの愉しそうな声が、家まで聞こえてくる。

そんな、夏の午後の事だった。


1時間前の事。

実琴の携帯が鳴る。

今日、ミナキタに行こうと約束している恵からだった。

「今日さぁ、ミナキタまで遊びに行こうって言ってたけど、暑すぎると思うんだよ。」

恵は少し申し訳なさそうに、話始めた。

「ミナキタは今度にして、今日は実琴ん家(チ)でゲームしないか?こないだ、新しい格ゲー買ったって言ってたじゃんか。アレやってみたいし…。」

「俺は全然イイっスよ。ミナキタも恵さんが古着見たいって言ってたんだし。」

「あ~そうだった~。オレから言い出したんだった…。」

「あっいや。余計な事言ってゴメン。」

わざわざ言う必要の無い事を言ってしまった事に気付く。

「恵さんを責めてるんじゃ無いよ。俺は恵さんと一緒に居られれば、何処だってイイんだし…。」

自分で言いながら、実琴の頬は赤く染まる。

その言葉を受け、恵も赤くなりながら、嬉しそうに答える。

「そ…ぅか。ありがと…。」

「いや…。」

(ホントの事だし…)


と、実琴は答えようとしたが、それより早く、羞恥でいたたまれなくなった恵が、

「んじゃ、支度したらそっち行くからっ!」


プチッ!
ツーツーツー…


「あっ…はい…。」

実琴は律義にも、途切れた電話の向こうの恵に言う。