「……!? じゅ、授業だ!」



いつの間にか寝てしまっていた。

また怒られる。

急いで立ち上がろうとしたとき、横からクスクスっと笑い声がした。

「……えっ、どうして?」

見ると美羽が座っていた。

「もう授業終わっちゃったよ」

「う、うそ? そ、そうじゃなくて、どうしてここに?」

「だって、ここで毎日会おうって約束したじゃない。雨だから来ないと思った?」

美羽はイタズラっぽく笑う。

まるで心の中が読まれているようだった。

「一緒に帰ろうっか?」

美羽は立ち上がり、手を差し伸べた。

「で、でも……」

「傘持って来てないんでしょ?」

「ど、どうしてそれを?」

美羽はニコッと笑って返すだけだった。

僕はそれ以上何も言わずに手を伸ばした。



初めて握った美羽の手は温かかった。