「涙、止まったね。」


そう言って優菜の顔を包み込む。


コツン、と額を合わせれば、優菜の目が泳いだ。

「俺、本当に優菜が好きだよ。」

どうしてそんなに否定したいの?

そのままの姿勢でそう言えば、優菜が逃げようと身をよじった。

なかなか逃げられないのがイヤだったのか、最終的に涙目で頭突きをされた。


「いって…優菜、酷くない?」


優菜を頭を押さえながら見上げれば、優菜がごそごそとカバンを漁り出した。


未だに真っ赤な優菜はそのまま俺に向かってカバンから出した何かを投げつけた。

「危なっ!」

危うく落としそうになったそれを受け止めて一息吐いて正体を確認すれば、それはピンク色の可愛い携帯で、

「別に、私が知りたい訳じゃないんだから。」

そう言って泣きそうに顔を歪めながら優菜が俺を見上げた。

「俺は、知りたいよ。」

素直じゃないなぁ、って思いながら素直に言ってみたら、優菜がまた赤くなった。

「優菜、好き!」

そんな優菜が可愛すぎてついつい言ってしまった。

ハッとして口を押さえれば、真っ赤な優菜がぎゅっと目を瞑って言った。

「しょ、しょうがないから、付き合ってあげる…」

言ってから眉を寄せて難しい顔をした優菜に嬉しすぎて抱きついた。

「優菜、かわいー!」

そのままぎゅっと抱きしめたら、

「か、かわい…!?」

もっと真っ赤になった。