「で、優菜はどうしたいの?」
上から聞こえる沙耶ちゃんの声に何を、と机に突っ伏したまま問い返す。
「もちろん、その純夜君って子にどうしたいか、よ。」
顔を無理矢理上げられて沙耶ちゃんの力強い瞳に捕まった。
「どうって…」
純夜の心配そうな顔を思い出すと、気分が下がる。
何も答えない私に沙耶ちゃんが苦笑いしながら問いかけた。
「じゃあ、優菜。よく考えてみなよ。優菜の今いる場所に優菜以外の子が立ってたら、どう思う?」
どうって、そんなの嫌に決まってるじゃない。
見たくもない。
そう答えたくても、
「別に、どうも思わないし。」
口からは自然と逆の言葉が出る。
あぁ、もう。
素直に言うことが出来なくて、苛立っていたら、沙耶ちゃんがけらけらと笑いだした。
「優菜って、本当にかわいいよね。」
そのまま頭をわしゃわしゃと撫でられた。
「優菜、今すっごく悲しそうな顔してるよ。」
そう言ってにっこり笑う沙耶ちゃんに何故か恐怖を感じた。
「優菜、私は優菜が純夜君を好きなんだと思うよ。」
そのままぐるぐると頭を回される。
「さや、さやちゃん…!」
気持ち悪いよ…!
沙耶ちゃんの腕を掴んで訴えるように握れば、沙耶ちゃんの顔が近づいた。
「告白、してみな?」
にっこり顔の沙耶ちゃんに口元がひきつる。
「こくはく!?」
自分で言って顔が熱くなった。
「顔、赤いよ?」
ツンツンと頬をつつく沙耶ちゃんの指から逃げるように顔を伏せた。
私が、純夜を好き。
それは今までに無いくらい胸を締め付けた。