それ以降の言葉が私の口から出てこないまま、現在に至る。

言いたいことは大体決まっていた……と言ったら嘘になる。
どうしていいかわからなくなった。計画も立てず事に及んだ私は大馬鹿だ。
そう思うなら何か言えと自分に言ってみるのだが、口は固く結ばれたままだ。
こんなことしてすごく恥ずかしい。だが、わたしは袖を離さない。
離すと、何処かに行ってしまう。
好き、大好き。


先輩は、振り払わずにゆっくり振り向いた。

「……鈴木、」

名前を呼ばれ、私は俯いていた顔を上げる。
すこし高い位置に、先輩の顔があった。目が合う。顔がどんどん紅潮していく。

「……先輩、あの「あのさ」

自分が思うままに、心に任せて口を開いたら、先輩の言葉と重なった。