【短篇】こ い い ろ 。

 



「……は?」


何を突然。


「俺、元カノと付き合いはじめてから結構噂聞いてたの。尻軽とか、そういうの」

ああ、知ってたんだ。


「前、男と歩いてるのも見た。でも言えなかったんだよ、そういうの」

「……なんで」

「好きだったから」

セックスとかしなかったけど、俺、別によかった。傍にいれたから。

それだけ言って口を閉じた鮎に、私はなんて声をかけていいかわからずに、ただ黙って、俯いた。
制服のスカートの紺が、落ち着いた色なのに何故か目にしみた。

……何よ、なにそんなちょっといい事言ってるの。鮎のくせに。どうせ悲しかったくせに。
私にみせたみたいに悲しい顔ひとつしてみなさいよ。あー、悲しいね。私もなんだか悲しいよ。ねぇ、鮎。この感情、何かに似てるの。なんだと思う?自分でもわからないや。