【短篇】こ い い ろ 。

 



「え、何が」


思わず立ち上がった私の耳に、冷静で少し引いたような聞き慣れた声が入った。

私は落ち着いて、とりあえず再びベンチに腰かける。鮎はさっきから物静かだ。いつものカラ元気はどうした。あぁ、振られたからか。でも私も振られた。なのにこんなにテンションがあがってる私って、どうなの?なんで?もしかして気づかぬ間に彼に冷めてた?


「ていうか、別れたばかりなのによくお前そんな元気でいれるよな」

「え、ああ。それ私も今思ってたの、自分で」

ふーん。と言って鮎は突然こちらを向く。そして一度閉じた口をまた開いた。

「俺、尻軽女と付き合ってて幸せだったかもしれねー」