【短篇】こ い い ろ 。

 



その時、鮎が大きく目を見開いた。よくわからなかったけど
その意味を知るのはほんの数秒後である。


「……奇遇だな、俺も」


俺も彼女と別れた。


冷たい風が吹く。鮎の黒い髪の毛が揺れた。

「……は?ダサ」

「うっせーな、お前だって別れたんだろ」

「向こうから告ってきて向こうから別れきりだしてきたんだからいーの。
 あんたなんて自分から告ったじゃん」

「ばっか違げーよ、向こうがぎゅうぎゅう胸押し付けてきたから」

「そういうのを勘違いって言うの。遊ばれてたのよあんた」

「うるせー、つかお前の元カレが他の女と腕組んで歩いてたとこ見た事あるぜ、俺」

「はぁ?!なんでそういう大事なことすぐ言わないの」

「ざまぁみろって思ってたら言うの忘れてた」

ふざけんなよ!ふざけんなよ!

私は心の中で叫ぶ。今これを声に出す気力なんて毛頭ない。