私の胸を貫いたのは私の好きな人。突然私の隣でペダルを踏みはじめた。彼は普段を変わらずに話している。が、わたしにとっては想い人だ、しかも片想いの。ドキドキしない方がおかしい。


彼は白と黒のマフラーに顔をうずめていたが、私に何かをペラペラと話してにこりと微笑んだ。もういい加減近い。恥ずかしい。私のクラスは下校前の授業が体育だったんだ。あまり近寄っては欲しくない。……なんて言ったら嘘だけど、今だけは、今だけはお願いだから。


なんてぐるぐると回る頭の中で、私は感覚神経で何かを捉えた。
私がハンドルでうまい具合に狭い道を進めようとする動きを、誰かに鈍くされていることに。