「ということで、麻原、頑張れよ」

「えっ、ええ!」

「ほら、アイス溶けてんぞ」

「あーもうヤケ食いよ、一気に食べてやる」

「一気に食べ過ぎんなよ、腹壊すぞ」

「べ、別にいい」


まだ唇から離れない感覚に驚きつつも、私達は再び歩き出した。
空は、いつもと変わらず高くて、青かった。


それから泰輔は最近元気がなかった理由について話した。
泰輔と私がもうすぐ付き合って4ヶ月と聞いた泰輔の友達が、キスもしてないし手を繋ぐことも少ないと言った泰輔に「付き合ってる感覚しなさそう」と言われて悩んでいたらしい。どうやら、泰輔は私が本当に泰輔のことが好きなのかどうかで不安になっていたようだ。ガキくさいと言われた。悲しいけど、なんだか嬉しかった。
好きだよ!大好きだよと言ったら、ふーんと言われたけど、泰輔の耳は真っ赤にそまっていた。


「ていうか、さっき実乃里って言ったよね!」

「は?言ってねーし」

「嘘だー。ばっちり聞いたから」

泰輔が片方の荷物を寄越せと手を差し伸べてきた。渡せば、泰輔はそれを左手に持って、右手で私の左手を握る。心臓がさっきからうるさい。だけどなんだか心地いい。

それはきっと、泰輔だって同じだよね?


しゃり、と音がすれば、冷たさと、ソーダの味と共に、幸せが胸いっぱいに広がった。


06 end