06



ある夏の暑い日、私は右手にソーダ味の棒アイスを、そして左手に2人分の通学カバンを下げて、ふらふらと歩いていた。
目の前には、私より少しだけ背の高い男の人の背中。さっきまで、じりじりと照りつける太陽に負けないくらいのキラキラした笑顔でこちらを向いていたはずなのに、今はもう後ろ姿しか映らない。

その男の人の名前は泰輔。顔も整ってて、頭もよくて、スポーツもできる、私の自慢の彼氏……って言いたいところなんだけど。


「ねえ泰輔」

「……」

「泰輔泰輔泰輔」

「……」

「たーいーすーけ「うるさい」……」


今、すごく機嫌が悪い、らしい。