二人のキョリ


「希久乃っっ!!!!」

声を張り上げた俺に気づき

希久乃は驚いた顔をした

「秋?」

そういって走って俺に近寄ってくる

それだけで嬉しくて

思わず男のことは忘れて

抱きしめた

そして希久乃は何かを察したのか

頭を撫でてくれた

また嬉しくなって高揚する気持ち

でも
現実に引き戻してくれたのは
希久乃の声だった
頭の手はそのままで顔を後ろに向けながら「たけ今日はごめん」と謝る。希久乃の肩に顔を埋めた俺は苦しくなる
そして男は帰っていった


またイライラした

希久乃の彼氏かもしれない相手。

それにも腹が立って
悔しくてどうしようもない


ギュッと強く抱きしめると
希久乃もそれに答えてくれた


「ねぇ秋。お茶飲まない?あたし寒くなっちゃった、ねっ」


そういって俺を見上げて微笑む可愛い顔

そのあと希久乃は俺の手を握り階段を登った

家に入って促されるままに

座って希久乃のお茶を待つ