「勉強はできたね。俺はいつも赤点だったから、啓に教えてもらってたなぁ。あとは、ヒステリーなおばさん先生がいたんだけどよ、啓が可愛いからってエコひいきしてる!って噂された時もあったけな」


「ふーん。あんたも可愛がってるのね、啓太の事」

「まぁ、な。アイツ可愛いじゃん。つい面倒みてやりたくなるっつーか」

「え?まさかっ…ホモっ?!」

「バカ、ちげぇよ!」


あたしは鮫島から容赦ない足蹴りをくらった。


「いったぁー!信じらんない!女の子に!」

「聞こえませ~ん」


もう!

あたしはぴょんぴょん飛び跳ねた。



「あ、なぁ、これアイツに渡しといてくんねぇ?」



そう言って、鮫島は何かが入ったCDショップの袋を渡してきた。


「何?これ」

「えっちなビデオ」

「えっ?!」


「うっそ。ローリングストーンズのライブDVDだよ。ずっと他の奴に貸してて、やっと返ってきたから」

「あ、そう…」


焦った~…。

鮫島のギャグの質と、啓太のギャグの質じゃ、同じ高校生男子でも随分違うみたい。



その時あたしは、ハッと大事な事を思い出した。

元カノ疑惑!



危ない、危ない、

忘れるところだった。