「何でも話してね。俺じゃ、頼りないかもしれないけど」
啓ちゃん、啓ちゃん、啓ちゃん…。
あたしの中に啓太が溢れて、たまらなくなった。
花火は、もうすぐ終わる。
季節も巡って変わっていく。
だけど、変わらないで欲しい。
これからもずっと、啓太の一番近くにいたい。
たとえ、ニセモノの彼女だとしても。
あたし、本当は気づいてたんだ。
だけど、気がつかないフリをしてたのかもしれない。
「美園?」
「…へ?な、何でもない。あ、啓ちゃんの花火、落ちそうだよ!」
「うあー、危ないっ!でもすごい続いてる、こいつ」
「本当だ、あははっ…」
啓太の笑顔だけ咲いて欲しい。
線香花火と、あたしの涙は、どうかこのまま落ちないで。
どうかずっと、このまま…―。
今が過去になる前に、あたしはちゃんと自分と向き合おうと思う。
あたし、啓太が好き。
いつからか、かけがえのない存在になってたんだ。
だけどあたしは、啓太と約束してるから。
“本気になったら終わり”。
恋愛ごっこは続いていく。
啓太は知らない。
あたしのこんな、チッポケな気持ちなんて。
言えない。
伝えたら、失ってしまう。
ねぇ、どうしよう、啓ちゃん。
あたし、本気になっちゃったよ。
啓ちゃんの事、たまらなく好きになっちゃったよ。
どうしてくれんの?啓ちゃん。
ねぇ。
ねぇ、啓ちゃん…―。