あたしは顔をあげると、見知らぬ男が二人あたしの前にたって、笑っていた。


「君、1人~?」

「つまんなくねぇ?!せっかくの祭りなのにさぁ!」


ベタなナンパ。

最悪…。

あたしは徹底的に無視を決め込んだ。


「あれ、シカト~?ねぇねぇ、俺たちと回らない?」


そう言って、腕を捕まれた。


「ちょっと、離してよ!」

「固い事言うなって~な?」

「痛っ…!」


男達に掴まれた腕が痛くて、あたしは顔をゆがめた。

くっそ~…もう、蹴っ飛ばしていい?!

そう思った時。


「おいおい、てめぇら。俺の女に手ぇ出してんじゃねぇ、コラ」

「……?」


ばかっ、啓太…!

ていうか、ダレですか、あんた!



啓太の容姿と言葉遣いがあまりに合っていなかったせいなのか、ナンパな二人は、頭の上に『?』を浮かべ、「お前、何?」と、ある意味暖かい目で啓太を見た。


啓太は、あたしをひっぱって、肩に手をまわした。


「彼氏だよ」


“彼氏”


一瞬、胸がざわめいた。

それは冗談?

忘れてたけど、啓太はそういう事、あっさり言えちゃう奴なんだ。