「38度…風邪ね。少し休めば大分下がると思うから、少し寝させましょ」


この前入れ替わったばかりの保健室の先生と、あたしで啓太を支えて保健室まで連れてきた。



啓太はベッドに倒れこみ、

「うー…本当に大丈夫なのに…」と、額に手を当てている。


保健の先生が書類に何やら書き込みながら、「帰りは…」と言った。


「柏木くん、家近い?」

「あ、近いです!」


あ。

しまった…。

とっさにあたしが答えちゃった…。



保健の先生は、ちょっとぽかんとしてから、意味深な表情で「そ」と笑って、またペンを動かした。


それからすぐに、担任の先生に知らせに部屋を出て行った。



あたしは啓太のベッドの傍に丸椅子をひきずっていって座った。

啓太は引き続き同じポーズだ。



「大丈夫?ちょっと楽になった?」

「…かっこ悪い…」


啓太はちょっと恥ずかしそうに呟いた。


ふふ、可愛い。


あたしは微笑ましくなって、子供をなだめる母親のように、布団の上に手を置いて、ぽんぽんした。


そんなあたしを見て、啓太は柔らかく微笑んでから、目を閉じた。