―…

少し落ち着いたから、啓太ママがお茶しましょうと提案した。


啓太ママと向かい合うのは緊張したけど、おいしいアールグレイの紅茶と、甘いクッキーがホッと気持ちを和ませてくれた。



啓太はソファに寝そべっている。

机の上のあたしの英語の問題集をちょっと読んでから、ヘッドホンを耳にあて、音楽を聴きながら、近くにあったゲームをやり出した。


親指をちょこまかと動かしている。



啓太も、こっちで一緒に話せばいいのに。



啓太ママは、柔らかい表情で啓太を見ている。

久しぶりの再会だから、本当に嬉しいんだろうなぁ。


あたしは、親子だなぁなんて思いながら、微笑ましい気持ちでその様子を見ていた。



「ねえ、美園ちゃん。美園ちゃんから見て、啓ちゃんってどんな子?」

「えっ?」



テーブルにひじをついて、興味心身に体を乗り出す啓太ママ。

あたしは戸惑いながらも、考えた。


どんな子かぁ…。


えっと、えっと。

あたしにとって、啓太は…?



「何ていうか、ちょっと突飛なんだけど、一緒にいて、落ち着くというか…楽しいというか…」

「うん」

「かよわいかと思ったら、意外と頼もしくて、男らしかったり…あっ、かよわいって悪い意味じゃないんですけどっ」


「ふふ。分かってるわよ」



啓太ママは少しからかう様に返し、優しく微笑んだ。

啓太の柔らかい表情で人の話を聞く所は、母親ゆずりだなと思った。