「うわ~んっ!どうしたらいいの?!」


土曜日。

あたしはいつもように、啓太の部屋にいる。


「うう…啓ちゃん、英語できる?」

「んー?」


あたしは容赦ない英語の宿題に苦戦中。

啓太はジュージュー美味しそうな音をたてながら、お昼ご飯を作っている所だ。



ちなみにメニューは、カルボナーラとサラダ。


啓太は意外にも料理が得意だったんだ。

きっと女のあたしよりずっと上手だろう。



「ちょっとなら。どれ?持ってきて」

「うん…」



あたしが半泣きで英語の問題集を持っていくと、啓太は野菜を炒める作業を止めずに、目を問題集に移した。



「ここは、関係代名詞だから、こうやって置き換えられるでしょ?」

「えっそうなの?あたし、全然違うことやってた…」

「これ引っ掛け問題なんだよ。みんな美園みたいに引っかかんの」

「ふーん、何か啓太、結構勉強できる子なんだ?」

「へへん、まあね。で、ここが…」




説明を受けている間、あたしはふっと啓太の唇に目をやる。