カシャ。

「ちょっと、何撮ってんの?」


あたしがカメラのシャッターを押すと、さっきまで笑顔だった啓太が口を尖らせた。



「あんたって本当に愛されてるのねぇ、お母さんに」

「まあ、一人っ子だからね。でも正直、かまいすぎ…。俺、もう高2だよ?」



力なくため息を吐く啓太。

きっと昔からすごい愛されて育ったんだろうな。



「小さい時とかも、ふざけて女の子の服着せられたり、王子の格好させられたり…ひどかったよ」



あたしは想像した。

う…可愛い。


もしかしたら、そこらへんの女の子より可愛かったんじゃないだろうか。

鼻血もんだな、こりゃ。


あたしは今度、アルバムを見せてもらおうと思った。



「まあ、いいじゃないの。愛よ、愛。ほら、ポポ、おいで~」



ポポちゃんは、しっぽをふってあたしにだっこされた。柔らかい毛並みを撫でると、気持ち良さそうに目をうっとりさせるポポ。


あ、何か啓太に似てるかも。

飼い犬は飼い主に似るっていうしな。ていうか、啓太自身が犬っぽいや。


「あ、ねぇ」

「ん?」


啓太がソファに寝転がったまま、あたしを呼んだ。


「そこの机の上に置いてある奴とって」

「机?」