ねえ、信じられる?

あたし、直樹先輩に誘われたんだよ?

夢じゃないよね?


2人っきりで出かけようだって!



あたしは顔のニヤニヤを抑えることが出来なかった。

すれ違う人に変な目で見られたから、わざとらしく咳払いをして誤魔化した。


ああ、あたし、今まで生きててよかった!



辺りはゆっくりと空がオレンジ色に染まりかけている。

まるでグラデーションのよう。綺麗。


その時、大きな一歩を踏み出したあたしを祝福するかのように、陽気な着メロが流れた。


ごそごそとブレザーのポケットを探る。

あたしのポケットにはガチャガチャと色んなものが入ってるから、ちょっと苦戦。


でもやっと取り出して、受信メールを見た。


「あ、啓太」


メールは啓太からだった。


『今日さっそく寄ってね。見せたい物があるなり』


ぷ、なりって。

見せたいもの?何だろう?

でもいいや、あたしは今最高潮に機嫌がいいんだ!



さっきは置いてけぼりにしちゃって可哀相だったし…行ってあげるか。

それにしても、ふふ、絵文字がまた可愛い…ってもう、あたしったらまた…。



でも、ま、いっか。