「ちょっと、あんたどういうつもり?」


あたしは放課後、昇降口で啓太を発見し、つかまえた。

今まで同じ学校だったの気づかなかったくせに、結構会うもんだな。



運動部の子たちが続々と練習着に着替えて、校庭に向かって走っていく。

あたしは根っからの『組織嫌い』だから、部活動には入らず、帰宅部。


まっすぐに自転車置き場まで歩いていく姿を見ると、マシュマロも帰宅部のようだ。



「あれ、可愛いっしょ。俺が描いたんだよ」


うっ…。へへっと目を細くして笑う啓太を見ると…「ま、いいかって気になっちゃうんだよなぁ…」

「そうなの?」

「え?…えっ嘘!また心の声もれた?!」


最悪だ…。

もうすっかりマシュマロペースに乗せられてる気がする、あたし。


…それにしても、啓太さん、どうして君は歩き方までふわふわしてるの?



「好きに使っていいから。毎日来てね、俺に会いに」


「あんたねぇ…ちょっと不用心だよ?もし、悪用する人だったらどうすんの。あたしが良心的な人だからよかったけど…」

「ははっ、それ自分で言っちゃうんだ」

「だ、だって本当のことだもん」


何照れてるんだ、あたしは!


「美園って本当、飽きないよね。どうせ来てくれるんでしょ?世話焼きに」

「世話焼きかい!気が向いたらね」

「ぶー。あ、で今日さ…」



啓太が何か言おうとしたその時、誰かが「美園ちゃん」と、あたしの名前を呼んだ。

あたし達は反射的に後ろを振り返った。


そこにいたのは……。